ニュートリノが示す最高エネルギー宇宙線の正体~アイスキューブ実験が探る極限宇宙~
2025年07月11日
研究?産学連携
黄金棋牌ハドロン宇宙国際研究センターのマキシミリアン マイヤー助教を中心とする研究グループは、世界最大のニュートリノ検出装置「アイスキューブ(IceCube)」(図1)を用いて、超高エネルギー宇宙線由来のニュートリノ探索を約13年分のデータを使い実施しました。
宇宙には「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの粒子が飛び交っています。中には、可視光の1垓(=1020)倍という桁外れのエネルギーをもつものも存在します。しかし、こうした超高エネルギー宇宙線の正体や起源となる天体はいまだ謎に包まれており、これまでその組成(陽子か原子核か)についても、いまだ決着がついていませんでした。その手がかりとなるのが、宇宙線が宇宙空間を進む中で生み出す素粒子ニュートリノです。ニュートリノの量は、宇宙線の成分や放射源の特徴に深く関係しています。ニュートリノ観測は、この長年の論争に終止符を打つ鍵となるのです。
本研究での解析の結果、予測されていたよりも超高エネルギーニュートリノの量が大幅に少ないことが分かりました。この成果により、超高エネルギー宇宙線の主成分は陽子ではなく、より重い原子核であることが示され、40年以上の議論に終止符を打ちました。また、可視光の約10京倍のエネルギーをもつニュートリノ検出を報告していたKM3NeT実験の結果を、約70倍の感度で否定することとなりました。
本研究結果は米国物理学会発行のPhysical Review Letters (PRL)に2025年7月15日に掲載される予定です。また、本論文はPRL誌が選ぶ特に重要な論文として”PRL Editors' Suggestion”に選出され、PRLのホームページで特集されます。